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歯科治療その後

歯医者通いが続いている。

臼歯の根の先の感染巣をきれいにしてから詰め物をする、根管治療と呼ばれる治療を受けている。今回は片方の根っこをリーマス、は躁病の治療薬で、リマール、はネバーエンディングストーリーを歌った歌手で、たぶんリーマーという器具を太さの違うものに変えながらしばらくうりうりとほじって、それから「じゃ写真撮ろう」とリーマーを突っ込んだままレントゲンを撮って、写真と歯を見て評価をして説明をし、では今日はいいですよ~と終わった。

待合室で不安になる。リーマー何本使ったのか、「15番、18番と20番新しいやつ出して」って言ってたなあ、あれ1本いくらすんだろ。レントゲン撮ったなあ。

財布の中に2千円しか入ってない。

もとがせこい性格なので医療コストにはうるさくて、職場でもテガダーム(点滴の針を刺したときに貼る透明なフィルム)が1枚いくらとか、シリンジ(注射器本体)がひとついくらとか、摘便すると1回いくらとか(ちなみに1回100点、千円もらえます。なぜか1日点滴するより高い)、そういうことにはなんとなく通じているので、その辺からあたりをつけると今回の治療はかなりかかることになる。ううう、万券持ってくるんだった。

だいたい根管治療なんてアメリカでやったら1本20万はくだらなくて、その金がないならお安く抜歯しちゃおうなんてこともあるような代物、あるいは去年渡航したときに、その直前にこの歯が痛んで応急処置として減圧処置をしてもらった話をしたら、「減圧って、それ根管治療が必要なんじゃないの、そ れ は 大 変」と王子が真顔でビビっていた代物。いくら日本の医療が安いといってもやっぱり財布の中身が2千円なんて人を馬鹿にしてるよねえ、そうだよねえ。

「かいぽんさ~ん」と呼ばれて、ええい、足らなければいますぐおろしてきますと言おうと腹をくくって会計に向かったら、

「はい、では200円です」

はい?

安心したというよりもわけがわからず、2秒くらい止まって今にひゃくっていったよな、それは200だよな、ともう一度考えてから支払いをした。いったい何をどうしたらこの治療が200円なのか?診療報酬しめて600円で割が合うのかと、他人事ながらなんだか心配になった。

畑違いではあるけれど、歯科医の保険診療報酬がかなり低く抑えられているという話は聞いている。おそらく歯医者畑も外科なんかと同様、職人気質でいい仕事をしようとすればするほど持ち出しが増えるということなのだろうとは見当がつく。それにしても200円って。

もちろん200円でだれも悲しい思いをすることがないのであればそれはすばらしいことなのだけれど、もしそれが歯科医や歯科技工士の犠牲の上に成り立っているものであれば、早晩それは消費者であるわたしに影響が出て大変困る。まっとうな治療にはそれなりの金がかかるのは当然のことだし、輸入物の怪しい安い金属を使われたり手間を惜しまれたりしたら困るから変に医療費を抑えてほしくないんだが。

それともこれは200円で十分で、高額な化粧品ほど効果があると思い込んでうれしがって購入するおバカな女性の考え方なのか。クレ・ド・ポー・ボーテ(資生堂の最上位ライン、口紅1本6千円)を愛用する身としてはその線も否定できない。なんというか、おろか、ぶ。

ところでこの臼歯の治療はもともと中学生のころに通っていた歯科医で受けたものだったけれど、銀歯を入れてもらったらそこだけ高くてうまくかめず、「ここだけ高くて当たるんですが」と言ったら「2、3日で慣れます」と言われてそんなもんかと思ってひと晩寝たらたしかに違和感は消えたがその日から顎の調子が悪くなって開かなくなった。そしてまともな滅菌処理がされていなかったらしく時を経て起きた今回の細菌繁殖。そこでの治療に不信感を持った父が口コミでわたしを連れて行ったのが今の歯科医院というわけで、ほんと、まともな治療さえしてくれたら自費でもいい、あんな目には遭いたくない。

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