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2009年7月

e転居

引越しに伴う郵便物の転送サービスがインターネットでできるというので試してみた。e転居というらしい。

そしたら「メールアドレスを入力しろ」だの、そこにURLを送ったから期限内にアクセスして手続きを続けろだの、郵便番号を入れても住所に連動していなくて両方入力しろだの。ここまでは付き合ったけれど、クレジットカードの番号を入力しろというところに来て画面を閉じた。本人確認がクレジットカードって、どんな転居届けだよ!

というわけで昔ながらの手書きの転居届けを出してきます。いったいこんなサービス誰が使うの?

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毒グモ!

ああ~王子が毒グモに咬まれたよう~
つま先をちょこっと刺されただけなのに鼠径部(足の付け根)まで腫れちゃって足やら腹やら痛んで眠れないって

うわあそれって神経毒だよ!死んじゃうの!?結婚して正味5日で未亡人って、それってどんな人生!と思っていたら生きてた

しかしかなり痛むらしい
なんかあたしと関わってからいろいろついてないねぇ

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傘は天下のまわりもの

よく晴れた今朝、勤務がめでたく終了になったのでロッカーを片付けた。置き傘1本に加えて出勤時に雨が降っていて自宅から傘をさしてきたが帰宅するときには晴れていたためにロッカーに置かれたままになっていた傘の合わせて2本を、職場の総合案内に寄付してから帰宅した。ここでは突然雨が降ったときなどに傘を貸し出していて、わたしもときどきお世話になっていた。

帰ってからしばらくして、レンタルDVDの返却日が今日だと思い出したので出かけた。朝にはよく晴れていたのに午後から雨が降り始め、それからしとしとと降り続いていた。自宅から2分歩いた職場の玄関にある停留所からバスに乗り、降りてさらに2分ほどビニール傘をさして歩き、DVDを返却した。

せっかくだから買い物をして帰ろうと思ったら、傘立てに立てておいた傘がなくなっていた。代わりに壊れた傘が立っていた。傘を買おうかと向かいのコンビニに走って525円と書かれたビニール傘をしばらく眺めていたけれど、なんとなく買う気にならなくてそのまま出てきた。あの傘も1本骨が少しゆがんでいたから、そう長くは持たないなあと思っていたことをなんとなく思い出しながら、小走りでスーパーに行って夕食の買い物をした。

バスの停留所には屋根があったからそこでバスを待って乗り、職場の玄関で降りた。そういえば玄関口では傘を貸し出していたんだな、と思い出して顔見知りの守衛さんに声をかけて傘を借りた。

その傘はわたしが今朝寄付した傘のうちの1本だった。

傘はそんな風に世の中を巡っているんだなあと思った1日。雨の日にどこかに入るときには持って入ったほうがよさそうです。

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フライト

面接が無事終わりビザも届いたと聞いて、王子が航空券の手配をしたと連絡があった。

何を思ったか大韓航空にしたんだそうだ。

過去に関わった在日韓国人の患者さんとの「思い出」からわたしがいま現在かの国にどんな印象を持っているかこいつは知っているはずなんだがなんでこういうことをするかなあ。わたしはかの国の食事も好きではないし、極力関わりたくないと思っている。どこに存在しようが飛行機を飛ばそうが知ったことではない、わたしはかの国のみなさんとは関わりたくないし、その飛行機に乗りたくないのだ。

もちろん答えはひとつ、「一番安かったから」だ。乗りたくない航空会社の飛行機に乗るくらいなら一人で行くからいいよと前に言ったんだが。

わたしは復路しか乗らなくて済むんだし乗って、彼には往復乗って懲りてもらうとするか。いや、いつもユナイテッドに乗っているからこっちの方がましだと言うかも。ああでもほんと、あの国民食の匂いはだめなんだよなあ。ときどき入院患者さんが入ってくるときにもこの国民食を必ず持ち込むものだから同室者の方から苦情が来る。

なんというかこういうとき、父と母を思い出す。父の思いやりが母にとって勘違いというか、ちょっとした迷惑であることがけっこうあったんだよね。今回王子としては「迎えに来る」ことがとにかく大事で、他のことが見えていない。

こういうのも性差なのか、それとも人種を超えて父と似たような人を選んだということなのか。

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仕事速すぎ

査証スタンプの押されたパスポートと永住権ホルダーとして入国するための書類一式の入ったエクスパックは、面接後1週間程度で指定された住所に届きますということだった。おそらく数日で着くだろうが、もし10日待って来なかったら問い合わせればよかろうと思っていた。ら、

面接の翌日着いた。

何その仕事の速さ。面接で提出する必要があるとされている書類のうち、先に提出してよいものは残らずあらかじめ提出済みだったので面接後に書類を処理する必要がほとんどなかったということもあるんだろうと思ったけれど、それにしてもだ。

在日米国大使館の仕事の速さは、すでに君らはアメリカ人ではないというレベル。本土のみなさんが聞いたらワーカホリックジャパニーズに毒されたと嘆きそうだ。あのイケメン、日本に長くいすぎて日本人みたいな職業倫理が身に着いてしまったのか。かわいそうに、アメリカに戻ったらまわりのみなさんの職業倫理の低さで胃に穴があくよ、というのは冗談だけど。

その点うちの父ちゃんはアメリカンだった。「同じ金をもらっているんだから、仕事しなかったもん勝ち」とよく言われた。そして実際不労収入の多い人だったなあ。

あのイケメンに礼の一言も言いたいけど、大使館にはそんな用件では入れないのよね。残念。

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面接

大使館での面接を受けてきた。

予約の30分前に到着したあと、思ったほど待たずに比較的さくさくと書類提出→指紋採取→面接と進んで、大使館到着からすべて終えて大使館の門を出るまでにかかったのはきっかり90分だった。

面接というから個室があってノックして入って受けるのかと思っていたけれど、声が通るように穴があいたアクリルかなにかの仕切りが間についた窓口で立ったまま受けるのね。病院会計窓口みたいというか、囚人の面会室みたいというか…

いつもなら寝ている時間なので眠くて仕方がないけれど眠ってしまうわけにもいかないので窓口をぼんやり見ていた。窓口は全部で10あって番号がつけられている。1・2は持ってきた書類を提出する窓口で、1~4には指紋採取の機械もついている。残りはどうやら面接をする窓口らしい。

そしてその面接をする窓口のなかで、ひどく回転の悪い窓口がいくつかあった。そこに呼ばれるみなさんはひたすら何かを説明している。どうやらそこは何らかの事情でビザ発行には事情を聞く必要があるとされて口頭でがっつり質問をする窓口のようだった。

若くてかわいらしいカップルが窓口に立っている。どうやら白人のご主人はまだ学生らしく、経済的にすんなり通らないケースらしい。どこの学校に行くのかとか、奨学金はもらっているのかとかいった質問に答えている。一度待合の椅子に戻り、また呼ばれて何やら話をしている。ここに呼ばれたらいやだねえ、王子がこれまできちんと生きてきたおかげでわたしたちには特にビザ発給に問題となるようなことはないはずだからどこに呼ばれてもいいけれど、前提として「問題がある」とされるところがいやだよね、と思いながら待つ。

そしていろいろと悩む。面接は英語かなあ、日本語かなあとか。人の体験談を見るとどちらがいいか希望を聞いてくれたりするんだよなあ、日本語でお願いしますってのもこれからアメリカに住むのにおかしいけど、英語で!と自分から言っといて面接官に「この程度で英語で面接してなんてよく言えたよ(プ)」なんて思われるのも切ない。

ほどなくして番号を呼ばれて行くと、面接官はイケメン白人のにいちゃん。いいねえいいねえ、どうせ目を合わせないとならないなら若くてかっこいいほうがいいよねえ。って何そのオヤジ目線。

ごあいさつもそこそこに、
"What language do you use with your husband?"
"English"

そうかあ、そうだなあ、うまい解決法だと感心しつつ英語で面接開始。

「ご主人とはどこで出会ったのですか、日本ですか、アメリカですか」
「それはいつですか」
「いつごろ結婚を決めたのですか」
「ご主人は日本語を話しますか」
「以前にアメリカに住んでいたことはありますか」
「どの州に住む予定ですか」
「キュウセイハ鈴木デイイデスネー」←なぜかここだけ日本語。どうやらわたしが日本語を理解するか試したかったらしい。しかしあれだ、王子が君ほど日本語を話したら…話している内容が全部バレるな。いや別に困りはしないですけどね。
「最後にアメリカに滞在したのはいつですか」
「ふたりとも初婚、お子さんはいませんね」

質問はこんな感じ。これにときどき雑談まがいのことが入りつつ。

「いや、主人は日本語をちっとも話さないんです。教会のボランティアで日本にいたことはあるんですけど、日本語を学ばないように言われたって言うんです。子供に英語を教えていて…」
「え」
「いやだからね、子供って英語の先生が日本語を話すと英語を話さなくなっちゃうらしくて。主人からはそう聞きました」
「うん、それはその通りなんだけどね、実際に日本で暮らしていて日本語を学ばないとけっこう大変なんじゃないかと思ったものだから。それで、あなたはアメリカに住んでいたんですか」
「高校生のときに交換留学生でした」
「じゃあ英語はどこで学んだの」
「だから今言ったように、高校で交換留学生だったんです。高3で」
「あとはない?マジ?」

ふうん、アメリカに嫁ぐみなさんというのはそんなに英語を話すわけではないのかな、日本で日本語を話さないよりもさらに行動範囲がせばまって人生つまんなくなるんじゃないかと思いつつそのまま面接終了。SSNについて聞いておけと王子に言われたのを思い出して終わりがけに聞く。
「出発まで、あるいは入国してからするSSNの手続きって何かありますか」
「いや、ないです」
「勝手に送られてくるってことですか」
「そうそう。さて、これで手続きは終わったようです。1週間程度で書類が送られてきますからね。じゃ、おしまい」


さて、大使館に面接に行くときあるといいのは軽い上着と時計。大使館はアメリカです。そしてアメリカ人は体感温度が大変高い。つまり冷房ががんがんかかっております。わたしは暑がりなので無問題でしたが、女性の中にはかなり寒そうな人がいました。
時計は、ずばり部屋に時計がないから。いつも携帯で時間を見ているけれど携帯は持ち込めないのです。

あと、全国のお子さんをお持ちのみなさんには大変心苦しいのですが、もうほんとに、お子様方がうるさかったです。ああもうもっすごうるさかった。一人泣くと連鎖反応みたいに残らず泣いてくれて、こっちはいつもならぐっすり寝てる時間だからもうめっさ眠いわけさ、そこへ0歳児から5歳くらいまでの子供がみんなでギャン泣きしてるわけだ。気が狂いそうでした。やっぱり母にはなれないな。働いて税金払うし子供手当の増税も文句言わないから、どうかぜひぜひどっかよそで泣かせてもらって、夜通しお年寄りの看護して疲れた看護婦さんを休ませてやってくださいませ。

それともあれなのか、面接には子供はをれてこないといけない規則なのかな。いや、そんなことはなかったと思うんだけど。


エクスパックの番号を控えておくのを忘れた!!!まあ、のんびり待ちましょうか。

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紙婚式

たぶんそろそろ結婚1周年です。いやあよくここまでもったねえ…ってまだなんにも始まってねえ!

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痛み(あるいは、あらたな攻撃対象)

入院中の慢性疼痛の患者さんは変わらず数日に一度、夜中になるとひどい痛みを訴える。この患者さんがひどく攻撃し、ひどい扱いを受けているとだれかれかまわず言われていた若い医師は任期が明けて他の科に移っていった。ひたすら攻撃され続けたその心労はいかばかりだっただろうかと思う。

ともあれ、今日はどうかなーと思いつつ出勤し、静かな夜は他の患者さんのケアに回り、この患者さんが痛む夜はとっとと血圧などに問題がないことを確認してから当直医を呼んで事情を話してちょこっと診察してもらって、するとなぜか痛みが引いて朝まで眠れる…というふしぎな日々が続いていた。

先日もそんな夜だった。ひどく痛みを訴え、痛みのために息ができないと言って悶絶した。ひと通りのことをしようと思い「血圧を測りますね」と一度部屋を離れ、シフトのメンバーに当直医に連絡するように伝え、別のメンバーにベッドサイドでできる検査の機械を持ってくるよう伝えて部屋に戻って検温し数値はいずれもまったく問題がないことを確認し、いつもと痛みが違う、死にそうだと叫ぶこの方をなだめつつ到着した機材で臨床検査を開始し、医師の到着を待って所見を確認してもらう。

その後の展開は同じで、ひと通りの診察が終わって異常所見なく様子を見ましょうと医師が消えた後ほどなくして症状が消え、朝までぐっすり眠っていた。後で責任を問われることがないよう、やることをやった上で本人が言ういつもと違う異常が所見上認められなかったということを記録に残す、日々その繰り返しだ。

ところが今回はどうやら違ったらしい。出勤してシフト準備のためにカルテから情報を拾っていると、この方からのわたしへのクレームが記載されている。

どこに問題があったのかと読んでみたら、痛くて仕方がない時に、血圧を測ると称してそばを離れるとはありえない。なぜ困っているのに付き添えないのだ、異常の所見がないからといって様子を見るとはどういうことだ…というのがこの方の言い分だった。

これに対応した看護師が記録した対応策が楽しい。痛みのあるときは付き添い、血圧計などはナースコールで他のスタッフに持ってきてもらうようにしますと言ったとある。夜勤の看護婦さんを倍にしてから言ってね!てかお前が来て付き添えや。

愕然としながら始まったそのシフトでも、やはりこの方は痛みを訴えた。ひどく痛むと言った。ただ、この方がナースコールを押すとほぼまったく同時に他の患者さんの容態が急変し、もともと数が少ないスタッフの残りはすべてそちらの対応に当たっていた。走って廊下を往復するスタッフの足音や、ナースセンターまで戻るのももどかしく廊下でPHSで当直医に連絡する声が聞こえる。正直スタッフの総数が少ないのでわたしもそちらに入りたいが、痛いと叫ぶ人をいつものことだと放置するわけにもいかない。

もちろんナースコールを押してこちらに血圧計を持ってきてもらうなんてそんな人数はどこにもいないから、まあこれがご本人のご希望というならそれでいっかー、とただ付き添う。付き添って治るならその痛みは別の科で診てもらった方がいいのかもしれないですよって言ったらすごいことになりそうだなあと思う。できるだけ真剣な顔でしながら背中をさすり、東海道新幹線の駅を順に思い出す。東京、品川、新横浜。横浜市営地下鉄ブルーラインはお乗換え…

なぜかそのうち痛みが消えて寝てしまう。急変患者さんの部屋に走っていって処置に加わる。

結局その後朝までぐっすり眠っていたので朝検温だけして消えたのでその後どうなったかは知らないが、わたしの対応がいかにひどかったかを泣きながらスタッフや医師にぶちまけているのだろうか。血圧も測ってくれなかったし、診察も受けさせてもらえなかった。何もしないでぼけっとしているだけで、人の痛みや、こちらがどれだけ我慢しているかわかっていない。

ああごめんなさい、その通りです。わたしにあなたの痛みはまったくわからない。

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トカシキのこと

職場に、今年2年目になる看護婦さんがいる。日本最南端の県からはるばる修行しに来たのだという。トカシキとでもしておこう。

トカシキはそしておそろしくバカだ。学校の勉強科目や一般常識は言うに及ばず、まともな会話自体がかなり怪しい。語彙が乏しいのがまずいのか、文法がわかっていないのか、それとも相手が何かを言うときどういう意図なのかを汲み取る力がないのか、いやどうやらその三拍子そろっているような感じなのだけれど、とにかく話がかみ合わない。

たとえば患者さんが吐いたとする。本人はげろげろ吐いて、まだ吐き気が止まらない。そこへナースコールに答えたトカシキが登場する。そしてなぜかシーツ交換を始めてしまう。いや、シーツは確かに吐瀉物で汚れているのだが、まだ吐き気がしている患者さんはシーツ交換のために動くのがつらい。どっちかというと吐いたものを受け止める膿盆を持ってくるとか、吐き気止めを使うとかする状況だ。
「すいません、気持ち悪いんです」と患者さんが言う。これは「おいコラおまえやめろよなにしてんだよ」という意味だが、トカシキには通じない。で、一応免許を持った看護師がそばにいるのに再度ナースコールが押され、「すいません、気持ち悪いんです」と別の看護師に訴えるということになったりする。

あるとき一緒の勤務でトカシキの受け持ち患者の血圧がとても高くなったことがあった。相談されたので頓用指示のテープ式の降圧剤を皮膚に貼るよう伝えたら、貼るところを一緒に見たことはあるが貼ったことがないから一緒に行ってほしいという。いや別にただぺたんとシールみたいに胸とか背中に貼ればいいんだがと思いつつも承諾して一緒に行った。

トカシキ「このテープを貼ります。えと、どこに貼ったらいいですか」(え、何患者さんに聞いてんの)

患者さん「どこに貼るとか決まってるんですか。何に効くんですか」(いやまあそう言うよな)

トカシキ「…」(おい黙るな)

患者さん「貼る場所によって何か変わったりするんですか」

トカシキ「…」(不動)

患者さん「…」(不動)

しかたがないから割って入る。

「これはフランドルテープといって、皮膚に貼るとゆっくり吸収されて血管を拡げて血圧を下げる効果のあるお薬です。胸に貼ることが多いですが、皮膚が弱かったり胸に手が行ってしまってかいてしまう癖があったりということであれば背中でも大丈夫です。どこに貼っても心臓への効果は変わりませんよ。かぶれたらすぐわかるように、今回は胸に貼らせて下さいね」

患者さん「はい」

トカシキは相変わらず不動のまま。「じゃトカシキさん、貼りましょうか」と声をかけるとわたわたと落ち着かない様子で貼り、見事シワになる。なんでなのだトカシキ。

退室すると「ありがとうございました!すごいですかいぽんさん!」どうしよう、すごいって言ったよ。すごくないよ。


ある夜、一緒に勤務しているとトカシキが言う。
「かいぽんさん、あのですね、なんかお金の請求が来るんですけど」とカードの請求書を持ってきた。リボ払いで残額40万。

おいおいなんでリボ払いなんだい。、利息がもったいないから一括で今すぐ清算しなさい、それからこれからはリボじゃなくて一括払いにするように手続きしなさいと言うと、「でも給料使っちゃっててもうないんです」と言う。手取りで月に25万くらいもらってんだろう、何に使えば残高マイナスになるんだい、と聞くと「何に使ったかよくわかんないんですけど、いつも気がつくとなくなってるんです」鏡を見といで、自己破産フラグが頭に立ってはためいてるよ。


あるとき勤務に行ったらその前のシフトにいたトカシキに「ピザ好きですか」と言われてうんと答えた。そのうち一緒に食べに行きましょうとでも言うのかと思ったら、

「じゃあ持ってきます!」と言う。どういうことかと思いつつ仕事をしていたらトカシキが宅配ピザの箱をふたつもって現れた。どうしたのかと聞いたら「親が5つ送ってきたんです。食べなさいって」

どうやら日本最南端の県に住む親御さんが宅配ピザ5枚を 宅 配 便 で 送ってきたらしい。それなら金を送るかトカシキのアパート近くのピザ屋に注文を入れてやったらよかったんじゃないのかと思うんだが、これがトカシキ家の愛の形だということなのか、こういう家庭でこういう娘が育つのか。よくわからない。

なんかこの国は安易に看護師を量産しすぎている気がする。もうちょっと吟味したほうがいいよ。

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ぽにょ?

「崖の上のポニョ」のDVDを見た。

わざと絵本風にしているのか描線が太い。通して見て、まあこんなもんかなという印象。
別に悪くはないけど別にもう一回見ようとは思わない感じ。てか宣伝が大仰すぎる。


以下、若干物語の筋に触れるのでこれから見ようというみなさんは飛ばしていただいて。


5歳の少年に恋をした人魚姫が人間になるという物語で、相手の人間が人魚姫の素性を知った上で受け入れて愛し守ることで人間でいられる、そうでない場合には泡になってしまうというのが人間になる魔法の条件。5歳の少年がこの人魚姫を一生愛するかどうかがとても気になる。

というのも人間は10代半ば~後半から異性との関係を持つようになるが、このとき幼少期に一緒に育成された者のことはその対象として見ることが基本的にないようにできているからだ。この条件に当てはまるのは通常同胞(どうほう、同じ両親から生まれた者)で、同胞同士の結婚が常染色体伴劣性遺伝による疾患を引き起こすことがある。だから幼少期にともに育てられた相手のことは性的には嫌悪感を持つようになっている(あるいは、そういう個体が生き延びてきたので現在そういう個体が多い)といわれている。実際に血のつながりがあるかどうかはあまり関係ないという。

反対に言えば同胞であっても幼少期に隔離して育てた場合にはこの条件には当てはまらないので、成長後に出会ってしまえば異性としての対象になるということがありうる。日本の歴史上近親婚が多かったとされる状況はいくつかあるけれど、どれも家の格が高くて異性のきょうだいが顔をつき合わせて育ったりはしていないんだろうと思う。

果たしてポニョの恋は実るのだろうか。それとも「海での生活を捨て、魔法を手放して陸に上がったことを、わたしは後悔していない…」とかなんとか言いながら海の泡になるのか。てか、5歳の言う「好き」「守ってあげたい」はペット扱いだろうが。

ついでに水没してしまった一般家庭の家財は大丈夫だろうか。避難所の体育館に強制避難なんてことになってしまって、報道で「こちらXX町の避難所です。住民の皆さんは眠れぬ夜を過ごしています…」なんてレポートがあったり、遭難して帰ってこない無数の船のクルーの家族が世界で不安な日々を過ごしたりしているのではないかと、ものすごく無用な心配をしたりしながら見た。ああ、ぬれてしまった畳はもう使えないというから大変だなあとか。

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下膳・その後

下膳の時間になったからと患者に早く食べるよう言ったうえに「あと5分」と急ぐ患者にさらに「じゃあここで待ちます」と追い討ちをかけてキレさせた新人。

こいつが準夜勤務でわたしに申し送りをくれたので聞いた。当然だけど情報収集はひと通り終わっているのでこいつが観察してまだ記録に載っていないこと以外は適当に聞く。

記録によるとこいつは勤務中に当該患者に謝りに行き、患者は快く許したということで、その後訪室した上司に対しても「自分から非を認めて謝りに来るとは偉い」と言っていたらしい。箸は結局出てこなかったようだが、こじれることがなくまずは安心した。

で、申し送り。「ええとー、この人の昨日の箸の件ですけど、もう解決したんで大丈夫です。次の患者さんはー」

おばちゃんね、もうちょっと違うコメントが来るかと思っていたの。「昨日はわたしのせいでお箸の件でお時間をとらせてしまったみたいで、ほんとすいませんでした。謝りに行ったら許してもらえたんで、もう大丈夫だと思います。気をつけます」みたいな。ねぇ。

お前のせいでもっすげえ忙しい朝に40分とられておまえのために平謝りして、その間の担当患者のナースコールだって鳴ってんのわかっててとれなくて、こっちゃ他のメンバーに平謝りだぞゴルァ何が解決だまともな接遇もできてねえくせに。

…と、心の中で怒鳴りつけつつ次の患者さんに話は進む。もうあとの申し送りいいから帰れよ。

「食事が今日から五分粥にアップしてー、全量食べてるんで点滴がオフになりましたー」はいはい。「今入ってる管は腹腔に2本でー、Tドレンは120mlライン、漿液性で色は緑色ー、Wドレンが150mlライン、同じようなのが出てますー」

「漿液性で色は緑って変じゃない?漿液って何よ。血漿のことでしょ。だから濁ってない淡黄色のことを漿液性っていうの。淡黄色で緑色ですっておかしいでしょ…って、ええ?Wドレン150?」

「はあ。150でしたー」

「日勤からはいくつ出てるって申し送られた?」

「えーとー、50」

術後消化液が腹腔内に漏れたために、本来出るはずでない消化液が腹腔内に留置された管からわずかずつ出ていた。ただ所見としてまずくなく量も多くないためにそのまま様子を見て流動食からはじめて五分粥(副食はほぼ常食と同じ)に食上げしたが、その途端腹腔に出てくる消化液がそれまでよりものすごく増えたということだ。それまでの1日のトータル量の数倍の量だ。本来ならぼけーっと量を見ている場合ではなくて先輩に相談するなり検温をするなりしないとならない状況。

「悪いけど、もう一度見てきてもらっていいかしら。150だとあんまりよくないから」

「見てきましたー。やっぱ150です」

おまえってあれか、人から「10円持ってますか」って聞かれて「持ってます。財布に。それが何か」と言っちまうタイプか。親から「風呂見て来て」って言われて「見てきたよ」「で」「はァ?だから見てきたじゃん。何言ってんの」と返すやつか。10円持ってますかと聞かれたら返事の代わりに財布を確認してあれば渡す、でここはな、「本当に150だったらあわててくれ」っていう意味なの。

言っても仕方ないみたいだから自分で対応することにした。とりあえず液を出してみる。140ml。特に腹部症状もないし熱も出ていないようだけど、どうしようと同僚に相談する。わたしが困っているのを新人が遠くで見ている。で、「わたし、この患者さんを受け持つの初めてだったんですよー」と言う。

結局そのまま様子を見て、医師が来るのを待って報告し、食事は確認できるまで配膳せずにおくことにした。


いつか。いつかおまえの親が、あるいは夫が消化管に問題ができて外科病棟に入院して手術を受けて、術後食事をしたら消化液が腹腔に漏れてそれを新人看護師に見過ごされて腹膜炎を起こすなんてことがあって、そのとき見過ごした担当看護師に「この人を受け持つの初めてだったから」って言われてみろ。


てか、だれかが死ぬ前にやめませんかこんな生ぬるい指導。なんで常識も責任感もない新人を別室送りにしてこんこんと説教したらいけないんだ。

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下膳

新人が来てから今月で4ヶ月目。2ヵ年計画で成長してもらおうという上層部の指示通り、こちらは新人に根拠を尋ねることはいまだにほぼできず、ひたすら生ぬるく接している。

しばらく前の勤務で新人から申し送りをもらった。シフト開始90分前には病棟に着いて担当する患者の情報収集はカルテから行っているから、新人が申し送る程度のことはあらかじめ把握している。正直申し送りはわたしのためではなく、新人がいかに申し送りに慣れるかという練習のため、あるいはどこがまずいかこちらが把握するためのものになっている。

「でぇー、この患者さんが寝る前の薬を飲んでくんなくてぇー、結局飲んでないんすよー。でもさっき行ったら寝てたんでぇ、もし起きちゃったら飲ませればいんじゃないかって思うんで、おねあいしあーす」

なあお嬢さん、ハタチをいくつ過ぎてるかは知らないし興味もないが、あんたの3倍は生きている人を相手に「飲んでくんない」はないだろうよ。飲みたくない理由が何かをきちんと聞いてそこからどうするかを考えるのがこの商売でしょうが。てか、それって何語?日本語によく似てるねえー。

…と言いたいが、とりあえず黙っておく。ダメ出ししちゃいけないんだってさ。新人が泣きでもしたらあとで呼び出しを食らいます。

「じゃー次の患者さんんー」

「申し送りでは、ひとりひとり翌日の点滴の確認をする決まりよね。明日のこの方の点滴はどうなの」

「あー」

情報収集の時点で、医師が翌日分の輸液の指示を出していないことはわかっている。それが翌日の食事量を見てから指示を出したいと思っていることもわかっている。それが言えれば大したもんだが。

「明日の点滴…ないすね」

「じゃあ明日は点滴はないの?」

「っスかねー」(そうですかねーの意)

スカねーじゃねえ。おまえがスカだ!とこの新人の指導係に話を入れてみる。「そうなんですよ、口調がすごくぞんんざいで…でも叱っちゃいけないって上が言うし、どうしていいのかよくわからないんです」だそうだ。


で、今日。

この新人がどうやら男性患者さんをハデに怒らせたらしい。彼女は遅番業務だったから深夜勤務のわたしが出勤してきたときには既に帰宅していた。この患者さんはやけに今日は眠れずに起きているんだなあと思っていたが、朝になって呼び止められた。

話はゆうべ食事を摂るのが遅くなってほとんど手をつけられずに下膳されてしまい、そのときお盆に載せていた自分の大事なお箸が一緒に下げられてしまったということだった。

これについてはおそらく栄養部に連絡をすればわかるから、連絡してみますと伝えたのだがなぜか「下膳した看護婦さんのお名前を知りたい。お盆に載っていたか確認したいので」と強く言う。実際のところだれが下膳をしたかわたしにはわからないので、その件も確認してからお伝えしますと言って下がった。

栄養科に問い合わせると、この人が描写した箸はなかったという。とりあえずもう一度見てみますと言ってくれた。しかしまたなんで看護師の名前なんか知りたいのか、それとも箸のほかに言いたいことがあったのか。そんなわけで下膳したのがだれだったのかを確認したあと、話を聞きにこの患者さんの部屋に行ってみた。下膳したのはかの新人。

しばらくお箸の話をし、朝食の準備が終了したところで栄養科に問い合わせますのでいましばらくお待ちくださいねと伝えたところ、「お箸はわたしが間違って置いたままにしてしまったから、わたしもいけないんです」と言う。

ふうん、と思って聞いていると、だんだん口調がヒートアップしてくる。どうやらこの新人がかなり強引に下膳しちまったらしい。「もう下膳する時間なんでー、食べちゃってくださいー」「あと5分で終わりますから」「じゃあここで待ってます」というやり取りがあったと。

どうやら箸がない云々は大したことではなくて、そんな失礼な対応をした看護師が許せず思い出し笑いならぬ思い出し怒りで前夜眠れず、それをわかってほしくて箸の話を持ち出したらしい。まあたしかに入院の唯一の楽しみは食事。下膳の時刻になったからといって「ここで待ってます」はない。しかもあの口調じゃねえ…

新人は遅番の後オフ。携帯電話に連絡するがひたすら留守番電話で話ができない。

上司が後ろで「オフだからー、職場からの電話にはー、出ないッスー、じゃないの」と呆れている。


じゃあもう来んでええ!と思う投げやりな朝。処理が死ぬほど大変です。

(詳細はすべて変えています>

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TOKYO WEDDING

後輩の結婚式に行ってきた。

平服で来いと招待状には書いてあったが、場所は代官山、大使館に囲まれた閑静なエリアの、おそらく日本で今もっとも熱くお高い三ツ星レストランウェディングである。ちっこいテーブル用フラワーアレンジメントで6000円請求されちまうような場所に普段着+αで乗り込むような度胸は持ち合わせていない。

思ったとおり も の す ご く 金がかかっていた。祝儀は本当に3万でよかったのかと悩むような式。安めに見積もっても一人当たり5万はかかっていて、さらに遠隔地から来た後輩には車代が渡されている。

いやでもいい式でした。欠けるところなくすべてが洗練され、華やかで光っていながらもシック。東京ウェディングの粋を集めてみましたというか、日本の結婚式の現時点での究極を見た気がします。存分に楽しませていただきました。

こういう式を京都でしたかったなあ。いやしなくてよかったのか。貯金が残らず消える。

ついでに新郎は出身県内トップと言われる高校から日本で一番と言われる大学に進み、国内で知らない者はどこにもいない企業で中間管理職をしている人らしい。おかげで2次会では初めて新郎の同僚で証券アナリストという「知らない単語じゃないけどそれが具体的に何をしているのか見当もつかない職業」の人と話をした。シャイだけど頭がいいので話がおもしろい。目下婚活中。わたしと話してどうする。

こういう人と結婚すると女性の人生はどうなるんだろうと考えながら帰った。


いやでも企業戦士の妻はわたしには務まらないねぇ。

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かえる

外出するとき、こどもに注意するようにしている。車なら最徐行、生活道路のような狭い道を歩いているときにこどもとすれ違うときにはやり過ごすまで基本止まる。こどもが好きでないということももちろんあるけれど、勝手にこちらにぶつかっておいてなぜかその付き添いの大人に文句を言われてしまうことがときどきあるからだ。どういうわけか、子供が何かと接触したらとりあえず相手が悪いと思う大人がたまにいる。まあなんといっても「お子様」だからね。妊婦も年寄りも「様」がついたりはしないが、子供にはついてしまう。

で、今日、後輩の結婚式に出席するのに必要な小道具を買いに行ったんだが、うっかり今日が世間で言う「週末」であることをすっかり忘れていて駅に着いてからその混雑ぶりにびっくりしながら歩いた。駅周辺全体がデパ地下みたいな混みっぷりである。

で、後ろから足にどーんと衝撃を感じて転びそうになって下を見ると子供にタックルされていた。右足にセミみたいにしがみつく推定5歳男児。付き添いと思しきばあさまはなぜかひとしきりこちらを睨んでから「どうしたのXXちゃん」と子供に聞く。いわく、

「かえるがいたから」

だそうだ。

全身ユニクロブルーのわたしのどこがかえるだったのかはよくわからない。お子様と分かり合える日が来るともあんまり思っていない。付き添いのばあさんともおそらく分かり合えまい。よけたらいいのにと思っているのかもしれないが、こっちは身長が高すぎて5歳児の頭なんざ視界に入らない。後ろからならなおさらよけようがない。

やっぱり子供とかかわっちゃいけない…と思った夏の日。どこに転職するとしても、「小児科・産科以外で」という条件は外せないね。

しかし、かえるって何だ。

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妻@行方不明その後

結婚しようと思ったアメリカ人が既婚で、しかも妻は10年行方知れずで、なおかつ法的に有効な婚前契約にがっつり縛られて夫側では勝手に離婚もできないというかの話は、どうやらこの妻が外国人だったというとりあえずのオチがついた。

それならすべての辻褄が合う。もともと愛やら情やらがあって結婚したわけではなく少なくとも妻側にとっては限りなく偽装結婚に近い結婚で、のらりくらりと2年やり過ごすか(アメリカの場合、婚姻成立から2年は条件付きのグリーンカードが発給され、その後条件削除の手続きを経て10年物のグリーンカードがもらえるようになる。こうなればほとんど何の制約もない)、あるいは最初から条件付きのグリーンカードを手にした時点でトンズラこくつもりだったか、いずれにせよこの女性にはいつまでも彼と一緒にいようというつもりはなかったのだろう。

さらに条件削除されるまでは(実際は5年程度経たないとかなり疑われると言われている)離婚する・されるわけにはいかない。たとえ自分が失踪しても勝手に夫側で離婚手続きができないようにするには、いかなる法よりも効力がある婚前契約でがっつり縛りつけるのが手っ取り早い。

ここまで果たして個人で考えられるものかどうか、この女性はどこの国の人なんだろうかという疑問は残るところではあるし、ここまで周到ならもうこの女性が見つかることはまずないだろうとも思うけれど、それにしてもこの件に関してはこの彼が完全に甘かった。いくらか積まれたのか、あるいはその女性のハニートラップにかかったのかは知らないが、彼はそんなに気軽に結婚するべきではなかった。

戯れに結婚はすまじ、というやつか。ああ、胸が痛い。

いや、深い意味はないですが。

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