テキサスからやって来た犬
ダックスフンドをレスキュー団体から引き取ろうという話が消えたあと、機会があればミニチュアシュナウザーの仔犬をどこかから譲り受けたいと思ってあちこち当たっていたのだが、王子は「縁がある犬は向こうからやってくるものだ」と機会があるごとに言っていた。
そして、犬ははるばるテキサスからやってきた。
しばらく前に退職した上司が事情があって今すぐは転職できないということで期間限定で職場復帰したのだが、そのときにわたしが3匹いるうちの2匹を亡くしたと聞いて「前に話した犬の引き取りを検討してほしい」と打診してきた。
上司の娘が結婚してテキサス州オースティンに家を買って住んでいるのだが、離れを貸している女性が飼っている2匹の犬のうち1匹を手放さないとならないという。以前にもこの上司から話を持ちかけられたことがあるのだが、当時は3匹犬がいてこれ以上は責任が持てないと断っていた。
王子と話した後、前向きに検討したいので、犬の写真と予防接種の記録、そしてなぜ手放さないとならないのかの経緯を知らせてほしいと返答した。王子は安いから来てもらっていいらしい。
犬はミニチュアダックスとチワワのミックスで、ひと昔前までは雑種と言われていたが今では「チウィーニィー」という犬種になって人気なのだという。チワワとウィーナードッグ(ドイツ原産だからソーセージ犬という俗称)をかけあわせたからそういう名前なんだって。わたしは今でも容姿や性格が一定でない犬は雑種だと思う。ともあれ上司はその場で娘から写真とビデオを送らせて見せてくれた。
犬の名前はオースティン=メイ、7歳の女の子、というか人間なら初老。飼い主の女性はしばらく前に離婚し、この時に4匹飼っていたうちの小型犬2匹を連れて家を出た。2匹のうち一匹はティーカップサイズの犬で、女性の職場や出張先にも同伴していたのだが、オースティン=メイは大きくはないものの2匹一緒に連れ歩くのは負担だといつも留守番をしていたのだという。顔はチワワで身体はミニチュアダックス。
女性が仕事や旅行で家を空けているあいだ、裏庭伝いに来るオースティン=メイを上司の娘が自分の犬と一緒に面倒を見ていた。日中はほぼ不在、週末もたびたび家を空けるこの女性がオースティン=メイに手をかけてやることがほとんどできずにいたため、上司の娘は常々この犬にはよりよい家が必要だと思っていたのだという。
さらに、この女性が最近マンションを購入し、庭がなく犬が留守番をするのにはつらい環境になること、その際に同居することになる交際中の男性が犬嫌いということが決定打になって、女性はオースティン=メイを手放さないとならなくなった。
オースティン=メイは人見知りをしない犬で、上司の娘の結婚披露宴でも人に愛想を振りまいて人気者だったというのだが、上司もその娘にもすでに犬が一匹ずついてこれ以上飼うつもりはないという。そこで白羽の矢が立ったのが、犬のために費用や手間を惜しまないことで職場ですっかり有名になってしまったわたしだったという話。
そんなわけでオースティン=メイはテキサスからはるばるうちまでやって来た。評判どおり人見知りをしない。基本的にぼんくらではないようで、犬用ドアの使い方はほぼ一度で覚えた。だがどうやら叱られるとかしつけられるとかいうことがこれまでなかったらしく、「NO」というコマンドが頭に入っていなかった。年の割に覚えるのが速いので助かっている。獣医で予防接種(法律で定められている狂犬病予防接種のみ前の飼い主が受けさせており、その証明書があったので、それ以外の予防接種)と健康チェックをしてもらったら、目立った健康問題はないという。
さらに、先住犬が一匹になってから人間が出かけるときにしきりに遠吠えをするようになっていたのがなくなり、寒い夜には一緒に丸くなって寝るようになった。もう一匹飼う余裕があるけれど、王子の言うとおり、縁のある犬が向こうから来るのを待とうと思う。
ワンちゃんにお家が見つかって、かいるびさんに縁のあるワンちゃんがやって来てヨカッタヨカッタ。ところでそのワンちゃんはテキサスからどうやって来たのですか?
投稿: Yasmin | 2017年2月 3日 (金) 15時48分
Yasminさん、どうやってわんこをテキサスから何千マイルも離れたところまで連れてくるか、それが今回の一番の問題でした。上司のお嬢さんがお友達の結婚式に出席するためにわたしが住む州まで来る機会があったので、そのフライトで一緒に連れてこようということになったのですが、そこからわたしが住むエリアまではさらに車で6時間の距離。クリスマス前の混雑する時期に12時間運転するのはつらいなあと思っていたところに、150ドルで請け負ってくれる人が現れて、オースティン=メイはその人の運転までうちまでやって来ました。150ドルからガソリン代を引いたらいくら残るんだろう、と思ってチップを多めにしてみました。この150ドルはわたしが負担しましたが、その他の手配はすべて上司のお嬢さんがしました。ものすごく不憫に思っていたのではと思います。
投稿: かいるび | 2017年2月 6日 (月) 00時55分