それはちょっと
通常永住権保持者に発行されるグリーンカードは10年有効なのだが、アメリカに住むために金を払ってアメリカ人と偽装結婚をする人も世界には多いらしく、婚姻による永住権に基づいて最初に発行されるグリーンカードは2年間有効になっている。入国から2年後にこの条件を削除する手続きをして10年有効のグリーンカードが発行される。
そんなわけでわたしも今年更新。手続きをしてその後そんなことはきれいさっぱり忘れて日々に追われていたら国務省から手紙が来た。「追加書類提出のお願い」とある。
要約するとこんな感じ。X月X日まで猶予を与えるので、期日必着で貴殿の結婚が親愛に基づく正当なものであることを証明する書類を送付されたし。一度に送付しない場合、申請自体が却下されることがあることを了承されたい。
つまりあれだ、かいるびおまえ永住権欲しさに偽装結婚してるだろ、違うと言いたいならまともな書類を出してみろと言われたという話。
で、王子がキレる。これ以上何出せってんだよ、あるもん全部送っただろざけんなよ。そしてひとしきり吼えた後「永住権が取り消しになったら一緒にいられないよう」と頭を抱え、「弁護士を雇ったほうがいいんじゃないのかな」と友人に移民専門弁護士に心当たりがないか聞きはじめた。
困ったなと思いつつ、そんなことになるのではないかという気はしていた。家の名義は王子単独で、共同名義に変えたほうがいんじゃないのと言ったら手続きがものすごく面倒だとか何とかうじゃうじゃ言ってそのままになっていた。別に家なんかに興味はないからわたしはどうでもいいんだけど、家が共同名義でないとお上から見ると同棲の延長ということか。戸籍制度がないからペーパーワークにあんまり説得力がない。
それから銀行の共同口座の残高証明は出したけど、うちは独立採算なので普段この口座取引は一切なくて、ふたりの連名でした確定申告の還付金を突っ込んでそのまま放置。生活費も部門別費用負担制度なので、電気代は王子、インターネットはこちら、携帯は各自というように名義が分散している。お互いへの強い責任感なしにまっとうな結婚はないと思うけれど、お役所が見たい種類の美しい夫婦愛はたぶんその眺望に含まれていないと思う。
子供がいるとこれが最大の証拠になるのだがこれもない。さらに入国後半年程度で就職してまともに金を稼いでいたら、確かに偽装だと思われるのかもしれない。
却下されてもたかが国外退去だろ、おまえらメリケン役人にはもううんざりだよ!と思って気がついた。いや待て、日本に帰るということは、日本で無期限に看護婦さんしないとならないということだな…
それはちょっと、というわけで今必死に証拠になりそうなものを探しているところ。日本の友人からふたり宛てに送られてきた手紙、一緒に日本に行ったときの搭乗券の半券とパスポートのスタンプ、空港横の有料駐車場の予約券、王子が勝手に定期購読の手続きをした婦人雑誌(表紙にわたしの名前と住所が書いてある)、コストコの会員券(わたしが入っていて王子が家族会員になっている)。あとは大量の写真。
日本自体が比較的豊かで近隣の国から密入国者やら偽装結婚での入国やらが絶えない国なので、日本人が生活のために偽装結婚までしてアメリカに居着くようなことはまずない。ついでに最終的にだめならふたりで面接になるのであんまり心配してないけど、ただただ面倒。
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