左ハンドルの日々

10秒の修羅場

大根を買いに1時間かけて日本食スーパーに行くことにした。日本では節約の王様みたいなものも、海を超えるとすっかり贅沢品になる。

6車線あるような大きなフリーウェイは比較的空いている。時速70マイルで走っていると、左の車線を走るトヨタの青いセダンが視界に入ってきた。なんとなくだけど、寄ってきているような気がする…と思った瞬間、セダンは車線変更を始めた。わたしが走る車線に入り込んできたのだ。

問題は、どうやらこのセダンを運転する人の視界にわたしの車がまったく入っていないことだった。フロントガラス越しにセダンの右後部ドアが見える。わたしからはタイヤも見えないような至近距離でセダンが割り込んでくる。

このままでは衝突すると、咄嗟にブレーキを踏む。相手のバンパーが見えないほど近い。夢中でブレーキペダルを床まで踏み込んでいるのに、セダンはアクセルを緩めているのか距離がまったく離れない。時速100キロを超える高速走行中にブレーキをベタ踏みしたために車体が左右に大きく揺れてハンドルがとられる。蛇行しているのを視界とハンドルから感じながら、必死でハンドルにしがみつく。タイヤが軋む長くて高い音が聞こえる。これから前の車に突っ込む音が聞こえるんだな、と思う。

わたしがセダンを避けようとハンドルを切ったのか、それとも急ブレーキによるものか、自分の車が右側の車線に入り込んでいるのが見える。はっとして横を見るとグレーのセダンが横を走っている。ここで初めて右横や右斜め後ろを走っている車にぶつかる可能性もあるのを思い出す。この車の鼻先は短いから、前と後ろの両方からぶつかればこの車は潰れ、わたしはおそらく助からない。ほかにも怪我をする人がでてしまうのだろうか。視界の端に青い空が見える。

前を向き直ると、青いセダンのバンパーが見えた。続いて、後部タイヤが見えた。そして、路面が見えた。セダンとの距離が空いたのだ。大きな音はしなかった。誰ともぶつからなかった。怪我はしなかったけれど、夢中でブレーキペダルを踏み込んだ右足がすこし痛んだ。

わたしは元の車線を走っていた。安堵も怒りもなく、ただフリーウェイの白い路面を青いセダンがスピードを上げて走り去って行くのを見ていた。止まって息をつきたかったけれど、一般道ではないから路肩に止まるのは危険だと思い直してそのまま走り続けた。

おそらくこのとき、幸運にも後ろにもすぐ右の車線にも車はいなかったのだろうと思う。右を向いたときに見えたグレーのセダンはスカート部分まで見えていたので、おそらくすぐ横ではなく、車線を挟んだ次の車線を走っていたのだろう。それでもドライバーはきっとものすごく驚いたはずだ。

あの青いセダンは、ただの確認不足だったんだろうか。それとも飲酒や薬物による影響を受けていたんだろうか。とっとと消えたけど、わたしに修羅場を見せたことには気がついていたのだろうか。


今回の教訓は、タイヤ交換は大事ということと、ドライブレコーダーは装備しておきましょうということのふたつ。バッテリー交換が必要になったとき、タイヤが剥離が起きそうなほどひどく劣化しているからフリーウェイは走らないようにと言われて、そういや低速で交差点を曲がるときにすらものすごい音がするよなあと思い出し、それなら交換してくれとその場で依頼した。車検のないこの国で、あれをやっていなかったらどうなっていたことか。

この瞬間のドライブレコーダーの録画は怖くて確認していない。車って怖いね。生きててよかったです。

トラフィックスクール

赤信号で交差点に突っ込んで違反切符をもらって結果的に罰金を払った。最後の仕上げはトラフィックスクールである。法的には罰金さえ払えばいいのだが、これをやらないと自賠責の掛け金がえらいことになる。

トラフィックスクール受講にはふたつ方法があって、ひとつは学校に出向いて1日受講するもの、もうひとつはオンラインで受講するものである。どちらも6~8時間程度かかるのだが、オンラインなら自宅ででき、途中でやめてまた翌日そこから続けるといったことが可能である。クラスでの受講はどんよりしているという話をどこかで聞いたので、とりあえずオンラインで探すことにした。

裁判所から送られてきた書類の中に「当裁判所で認められているトラフィックスクール一覧表」があって、そこから選べということらしいのだが、オンラインのトラフィックスクールはえらい数があってどこにしていいのか見当もつかない。

比較的近くに住んでいるらしい日本人男性のブログにトラフィックスクール受講についての記事があり、あるオンラインのコースを勧めていた。さらにクーポンコードのような数字も書かれていてこれでいくらか安くなるという。じゃあここにするか…と気楽に登録し、クレジットカードで支払いをした。

ところがこのクラス、始めてしばらくしたころからいろいろと気になることが出てきた。まずは宣伝がうるさい。ページを開くとまず出てくるのは「あなたのためにテキストを読み上げるオーディオサービス!いますぐアップグレード!ここをクリック!」というバナーである。

1ページ終わるごとに問題が出るのだが、これが面倒。しかも考えているうちにタイムアウトになりそうになる。なんとか最初の1章を終え、一度ログアウトしてお茶することにした。

これは8時間では終わらないような気がする、てかバナーで気が散るわ…と思いつつサイトに戻ったら、今度は「友達を誘ってお金稼ぎ!」というバナー。「このクーポンコードをお友達に紹介しましょう!ここを受講して修了したら報奨金を差し上げます」。

無視して次の章に移ると、やっぱり「いますぐアップグレード!ここをクリック!」のバナー。登録時にクレジットカードの番号が押さえられているから、うっかりクリックするとそのままチャージされかねない。

なんとなく気が削がれているところに「会員の皆さんへ」というタブが目に入り、そこをクリックして判明する驚愕の事実。

6~8時間のコースを受講した後で最終試験を受けることになるのだが、この際替え玉受験ができないよう、試験を受ける前に身分確認を受けないとならず、自宅で受験したい場合には信用情報会社のデータベースでの身分確認を受ける必要があるという(これはどこの管轄の裁判所からかによって違い、身分確認の不要な裁判所もある)。

これには別に費用がかかり、さらにデータベースでの身分確認ができなかった場合、払い戻しなし、さらに追加で費用を負担して公証人を探して身分確認をしてもらう、あるいはテストセンターまで出向いて利用料を払って試験を受ける必要がある。ここまでやると初期費用の3倍以上、教室で受講するより高い。

そんなことはトップページやそこからのリンクにはまったく触れられていなかった。

話はそれるが、アメリカという国では信用履歴が大変大事なので、誰でも1年に一度は無料で自分の信用履歴を確認することができるようになっている。そんなわけでわたしもオンラインで試したことがあるのだが、大手の信用情報会社のうちのひとつではわたしの信用履歴を確認することができなかった。

別の信用情報会社では身分を確認することはできたのだが、わたしの信用履歴に関する記載に「最近あなたの信用履歴を確認した団体」として、わたしが最近クレジットカードを申し込んだ会社の名前があった。このクレジットカード会社からは「住所が確認できなかった」と追加書類の提出を求められているので、試験のための身分確認ができるかどうかは若干怪しいところ。

そんなわけで追加で金を払ってオンラインで試験を受けようと思っても、身分が確認できません、と受験ができない可能性がある。そのあとさらに公証人を探すかテストセンターの予約をするかしないとならない。

ちょこっと検索したら他のオンラインコースはトップページでこのことに触れられており、「何らかの理由で信用情報会社のデータベースで確認できない場合、いかなる理由でもその料金は全額払い戻し、公証人での確認、あるいはテストセンターでの受験に振り替えさせていただきます」と書かれている。しかも身分確認の料金半額以下。コースの受講料も、クーポンコードを使った料金よりも安い。

大事なことは後出しにするわ料金は高いわがめついわバナーはうざいわ、これはキャンセルだな、と思ったらこれがまた大変だった。電話番号はつながらない、つながったと思ったら10分放置されてその後切れる…

消費者センターのサイトに行ったら、過去3年でこのオンラインコースに対する苦情が44件出されていた。

この時点で払い戻しは半ばあきらめ、せめて追加で金を払わされなくてすむだけでよしとしようと思い始め、オンラインではなく実際の教室での受講を決めた。こちらは雰囲気がどうであれ6時間拘束されて座っていれば終わる。最終試験もない(ちなみにオンラインコースの多くが、教室での受講は最終試験が課せられないことには触れていない)。

さいわいその後えらい苦労して払い戻しを受けたのだが、これに2時間かかった。

というわけで教室での受講になりました。ドーナッツとコーヒー持って行こう。

罰金か裁判か

ジムに行こうかどうしようかと葛藤していたら、先日の交通違反の件について相談していた弁護士事務所から連絡があった。

交通違反による召喚状を受け取った場合、罰金を払うか実際に裁判所に出頭して異議を唱えるかという選択ができる。罰金を払う場合、その前の18ヶ月に受講していなければトラフィックスクールを受講する権利が与えられる。これによって正式記録上では減点記録が残るものの、自賠責の掛け金を決める減点のリストには載らなくなる。

ただわたしは移民なので、今回の違反が公式記録に残ることに不安があった。正直5万の罰金が10万であっても払えないことはないが、公式記録に減点が残ることで今後何らかの不利益を被る可能性があり、かつ裁判で覆せるものなら弁護士を雇うこともやぶさかでないと考えたのだ。

で、連絡をくれた弁護士さんの結論は「トラフィックスクールがお勧め」。

その理由というのが、わたしが違反をする少し前に施行された州の交通法改定だという。DMV(州の免許センター/陸運局)で保管される減点記録が保険会社のみならずその他にも公開されることがなくなったため、運転手が減点によって雇用時などの不利益を被ることがなくなったのだという。

「裁判で罪状否認し闘うことはもちろんできるが勝率は9割で絶対ではない。この記録が何らかの不利益材料に使われることはないし、違反歴がなくトラフィックスクールを受講できるという状況だから、そちらの方が安いし確実だと思う。弁護士に相談して裁判をしないのを勧められるというのもおかしな話に聞こえるかもしれないが、それが最良だと思います。検討してみてください」。

要するに違反を繰り返してこれ以上減点がつくと免許停止やら禁固やらといった面倒なことになるのでとにかくひっくり返したいという状況ではないから裁判はそんなに必要ではないよ、という話。

よっしゃカモが来た!と裁判を勧められることもなく、説明もわかりやすかったから、おそらく良心的な法律事務所なんだと思う。DMVのサイトで改定された交通法規の条項を調べてみたら日付とタイトルからそれっぽいのがあったのだが、さすが法律用語、英語はわかるんだがそれが結局何を指しているのか見当もつかない。

王子はこの件に関しては「裁判を起こすのもありじゃないの、考えられる最悪の状況は満額の罰金を払うのとトラフィックスクール受講の権利が剥奪されるくらいだから。俺弁護してもいいよ」というスタンス。裁判は違反切符を発行した警察官に対してということになるのだが、そちらさんが出頭しないことで終了となり、切符が無効とされるということがけっこうあるらしい。

ありがとう王子、ってあんた弁護士免許ないじゃん…

葛藤

ひと月ぶりくらいの平日オフ。上司がやりくりして今週は今日なら外せると休みをくれた。いや歯医者でクラウンができるからって金曜のオフを希望してたじゃないですか、と言ったら「いやそうなんだけどね、金曜はちょっと無理なのよね」。

そんなわけで久しぶりにジムに行きたいんだけど、違反切符を食らわせてくれた信号が怖くてこの3時間迷っている。

赤信号でつかまるのが怖いならとりあえず止まって行かなきゃいいって思うだろ、そうすっと後ろの車からえらい勢いで怒られるのさ。正直右折なら赤信号でも行っていいという法律はなくしてほしい。赤なんだから青になるまで止まってりゃいいじゃん…

あの交差点を通らなくていい他のジムに通おうかな、とどこまでも後ろ向き。

ところで、州内でこの信号無視監視カメラ撤廃の動きが高まっている。カメラ管理会社に支払う費用が莫大で違反金のほとんどがそちらに流れていて、カメラ導入で潤うはずだった自治体が「なあ、なんか俺ら全然儲かってなくね?」と気がついたことがその発端。先月ロスアンゼルス郡(LA市を含む一連のLAエリア)が監視カメラを全廃し、わたしのエリアでも裕福ないくつかの市が監視カメラを撤去した。わたしの職場である大学病院を抱える市はおかげさんでこのあたりでも非常に裕福で、LAに続いてとっととカメラを廃止した。いいことだ。

うちの市は自前の警察がないくらい貧乏なので(裕福な市は自前の市警察を持っているが、貧乏な市は州警察の管轄にされている)、カメラは未だに稼働中。どうやらカメラ管理会社への解約金が払えないので、損だけど取っ払えないということらしい。罰金は税金の一環みたいなもんだと思っていたけど、カメラ管理会社が儲かるばっかりだったというのは意外だった。

でもせっかくなんで行ってきます。あの交差点を通らなければいいのかなあ…

招待状

その後、裁判所へのご招待が来た。先日の信号無視の件で出頭せいというお上からの召喚状である。

この召喚状には証拠として監視カメラの写真が添付されているのだが、これが無駄に鮮明で、車両の前から後ろからがっつり撮影されていて、信号も一緒に写っている。黄色だと思っていたけどこれは完全にクロ、というか赤である。

裁判所に出頭すると減額してもらえるようなことがネット上に書かれているけれど、州によって違うんだろうか、わたしが受け取った召喚状には「罪状を認める場合には2週間以内に送付される通知に従って保釈金(といっても返還なし、要するに罰金)を支払うこと。異議を申し立てる場合、あるいは通知がない場合には指定期日に裁判所に出頭のこと」と書かれているので、出頭していいことがあるかどうかちょっと疑問。

やっちまったものはしかたがないので、とりあえず罰金の通知を待ちたいと思います。今週は公休返上で勤務した上残業もがっつりしているから、余計に勤務した分だけで十分罰金が支払えるよ!と王子に言ったら、「その金でふたりでディズニーランドに行けたのにな」ですと。そんなところで機会費用の話すんなよ、さびしくなるだろ…

やっちまってからこれまで、いろいろ反省した。わたしは乱視のために距離感がつかみにくいのだが、こちらでは乱視矯正のめがねをかけていない。太陽光が強すぎて、日中はサングラスをかけて運転するからである。これも理由にあるだろうということで、解消するために眼科医の予約を入れた。乱視矯正のサングラスを作るよ!王子の医療保険で、年にひとつ無料でめがねが作れるんだそうな。

信号無視

週末の今日、王子は朝から自転車に乗って出かけていった。一緒に来るかと言われたのでいつもどおり断り、王子がいないならとジムに行くことにした。

どうも注意力が散漫だったようで、職場に向かうルートに乗ってしまい、遠回りすることになった。フリーウェイにのったら10分かからない道を20分以上かけて走る。

ジムに近い大きな交差点に向かう道の右前方に自転車がいた。この交差点は片側4車線と比較的大きく、うち2車線が右折専用レーンである。直進したかったらしいこの自転車は道を横切って直進レーンの右端、右折レーンの左端に寄った。

わたしはここで右折、さらにその後左折なので左側の右折レーンに入った。というわけで前方の赤信号で自転車が止まっている。

右折の矢印信号が出ていて右折車が右折している。このまま行けるかどうか…黄色になったか、というタイミング。こういうとき、たいがいわたしは困ってスピードを落とすことが多いのだが、このときわたしはとにかくこの自転車から離れたいという気持ちから交差点を抜けようとスピードを上げて、前の右折車についていった。

で、前方のフラッシュが焚かれたのが目に入った。

監視カメラである。信号と連動していて、赤信号で交差点に進入すると写真が撮影され、数週間後に証拠写真入の召喚状が届くことになる。

右折は赤信号でも交差点に進入して構わないのだが、このときもかならすタイヤがロックするまで停止する一旦停止をしたあとでないとやはりフラッシュが焚かれることになる。いずれにしても心当たりがあるので何も言えない。どんなに自転車がうざくても、優先順位を間違うのはよくない。

というわけでたぶん2週間くらいすると召喚状が届くことになると思います。別に出頭しなくてもカード払いで罰金を払えばそれでも問題ないけど、裁判所に出頭して異議がない旨を述べると若干減額されるらしい。

あとはトラフィックスクールに行きます、と希望して受講することで、正式な記録には違反記録が残るものの任意保険の掛け金のランクをそのままにすることができるらしい。ただどうやら最初の1回では掛け金は変わらないらしいけど、その辺は保険会社に確認しないとわからない。あとトラフィックスクールは受講後18ヶ月は受講できないので違反もほどほどにね、ということになっているらしい。

やっぱり注意力が落ちているらしい。ジムもあんまり集中できなくてそのまま帰ってきた。回復するまでおとなしくしていることにしよう…

日本の信号無視は1万円程度だけど、こっちの信号無視はけっこうびっくりする金額だよ。トラフィックスクール登録やら罰金やらで5万くらいになると思う。どうも法人税やらなにやらが減って財政難で、これが大きな収入源になっているらしい。

車道という名の公園

近所に子供が増えた。

王子が購入して住んでいた家にわたしが引っ越してきた頃、このブロックには子供がほとんどいなかった。2世帯だけ小学生と高校生の子供がいる家がいたが、ほとんど見かけることがなかった。

その後子持ちの世帯が立て続けに3世帯引っ越してきていろいろ変わった。今子供の数は少なく見積もって10人。たまによそのブロックからも子供が遠征してきて15人くらいになったりする。

わたしたちの家の前の通りは袋小路になっていて通り抜ける車がいない。というわけでこの道は子供の遊び場になった。車道歩道を問わず自転車で走るのはもちろん、通りの中央に座ってチョークで地面に絵を描く、移動式のバスケットゴールを設置して通りをコートにして遊ぶ…最近は何を思ったか向かいの家が道路工事で使うコーンをいくつか持ち出してきて車道を半分塞ぐようになった。いやうちも通るんだけどさ。

わたしは日本で車道で遊んではいけませんと教育を受けてきたので、これがどうにも腑に落ちない。車が通るためにある通りなのだからそこで遊ぶのはおかしいし危ない。仕事から帰ってくるときに道の真ん中で遊んでいる子供がいれば完全停止して子供が気がついてどくまで待つ。飛び出しだろうが車道ど真ん中だろうと、たとえどんな状況であっても子供を轢けばドライバーは無条件で完全敗北である。

そしてどうやら王子に言わせると住宅街の道路で子供が遊ぶのは普通のことらしい。親はこの立地条件を求めてここに引っ越してきたんだろうと言う。子供は国の将来なのだから遊ばせてやれと言う。

いやいやいや、こっちゃガレージから後ろ向きで車出そうとして子供轢きそうになってアドレナリン暴発させてますから。自転車で歩道を走る子供なんて車庫内から後方確認したって見えるわけないじゃん。

正直なところ小学生の子供なんてわたしにとっては苦手な虫と同じで、視野に入りさえしなければどこにいてもらっても構わない。子供のない世帯に子なし税が課税されても喜んで払う、てか実際子供のいない夫婦は「独身ふたり」扱いだから払ってるようなもんだし。とにかく近くでうろうろされなければそれで問題ない。

王子が気を悪くする。いいじゃん子供、かわいいと思って見ればいいよ。

腹が立ってまくし立てた。あらあなた、じゃあお子さんを儲けたらどうよ、きっとかわいくて楽しいわよ。でもあたしは子供が嫌いなの。だからこの年になっても子供はいないしこれからも産む気がないの。職業的にも産科や小児科は絶対に嫌だと避けてきたし転職時には産科小児科にまわさないことを条件にしてきたの。甥っ子姪っ子はそれでもかわいいけれど、他人の子供にかかわってトラブルになるようなことは絶対にしたくないし、子供を車道で遊ばせるのは少なくともこちらにはろくなことがないと言ってるの。

もともと王子も子供が嫌いで、わたしと結婚したのも子供がほしいと言われることがないことが理由のひとつだったくらいなので、これには王子も黙るしかなかったらしい。

というわけで引越しを考えたいと思います。実現するかは微妙だけど、ふたつくらい離れたブロックで真っ昼間からアホな住民がライフル振り回して逮捕されたなんてことが今月あったし、正直このエリアにいたくない気持ちが強い今日この頃。

ただ、このエリアのみでなく多くの場所で、安全な子供の遊び場がないということは事実だとは思う。わたしはあまり外で遊ぶ子供ではなかったけれど、それでも田んぼとか空き地とか近くの公園とか放課後の小学校とか、そういう車から隔離された遊び場があって、れんげ摘んでみたりおたまじゃくし捕まえてみたりバッタ飼ったりサルビアの蜜吸ったりじゅず玉を集めてみたりしたもんだけど、そういう場所が一切ない。

小学校は歩ける距離ではなく黄色いスクールバスで通うので、授業が終わるとバスに乗らないとならないから学校では遊べない。徒歩10分の公園は基本的に野球とかバーベキューとかライブに使うところなので遊具があるわけでもない。空き地は基本的に危ない。酒の空き瓶とかその破片とかが落ちていて、もし使用済みの注射器でもあって踏んだら怖いから犬の散歩でも入らないことにしている。そしたら家の中か車道で遊ぶしかない。

それでもやっぱり子供が車道で遊ぶのは困る。いつか気が触れて子供に突っ込むとかいうことがないといいなあ。いやあったら困るけどさ。

ちなみにここに住み続けると、たぶんあと5~6年くらいでこの子供たちが高校生になります。この子供たちの親は見たところ裕福ではなさそうだからおそらく公立に行く。そうなると車道で遊んでいた頃が懐かしくなるくらい、桁外れに厄介だよ。それまでには何としても撤退したい。もう少しまともな高級住宅街へ。うちは子なし2馬力だから、できないことはないと思うんだ…

DMV参り・馬鹿とはさみは使いよう編

運転免許証の更新ができないまま(DMV参り・免許更新編参照)期限切れまであとわずか。今日が期限切れ前の最後の平日オフである。

今日は月曜、ファクスが届いているか確認をしようと朝一番で電話をすると、やる気のなさそうな兄ちゃんが電話に出て、ステータスの確認をしたいと言うと「更新はされていない」。どうなってるんですか、と聞くと「よくわからない」と言う。仕方がないので最初から説明をするがやはりよくわからないらしい。誰か他の人に代わってもらえないかと言おうとしたが、どうやら受話器を放置されてしまったらしい。切ってかけなおす。

次に出た兄ちゃんははきはきと「ファクスは届いているのかもしれないけど、いまんとこステータスは変わってないよ。ファクスでもステータス変更には2週間くらいかかるよ。総務省と内容の確認ができてからだから。そこから仮免許証を送るので、手元に届くには3週間だね」と答えてくれた。

ええと、要するに数日後に免許が切れてから、その仮免許証が届くまで最低あと2週間くらいかかるということなのかしら、と言うと、その通りです、とまたはきはきと返事が返ってきた。「運転ができないと仕事に行けなくて困るんです、何とかなりませんか」と言うと「うーん、どうにもならないですね」。

どうやらどうにもならないらしい。このままでは無免許状態で運転をするか、免許証が届くまで仕事を休むか、王子に送り迎えをしてもらうかしかない。涙目。

そしてそこでぼんやり思いついたのが「質問が悪いのか?」ということだった。

アメリカで「公務員」というのは「若干アタマが悪くて民間で使えない人たち」みたいな扱いだが、どうも州政府系機関の末端のみなさんをこれまで見てきて、実際あんまり頭がよくないんじゃないかと思う節がある。IQが低くBMIが高い。

もしかしてみなさんは悪意から人の手伝いをしないのではなくただ頭が悪いだけで、「この状況でこれはできますか」なら答えられるが、「こんな状況なのですが最善策は何ですか」には答えられないのではないか。だから電話でも「ステータスは更新されてますか」には答えられるけれど、「何とかなりませんか」には答えられない。PC-8800時代のアドベンチャーゲームみたいなもんか。コマンドに入れる言葉は簡潔に。

ということは…と思いつき、再びDMVに出向く。2時間待って窓口にたどりついてお姉さんに尋ねる。

「郵送で更新の手続きをしたのですが、免許証が届きません。仮免許証は発行できますか」

返事は「できますよ。法的に滞在している証明書はお持ちですか」だった。

最初から明確にはい・いいえで答えられる質問をするべきだったのだ。かくしてその10分後、わたしは仮免許証を手にDMVを後にした。なんとなくここでやっていけるような気がした。気のせいだと思うけど。

DMV参り・免許更新編

運転免許の期限切れまであと数日。

3週間ほど前に「運転免許証更新のお知らせ」が免許センターから届いて、「なんとこの国にしては親切な」と感激しつつ必要書類を集めて返送したので、これで新しい免許証が届くだろうと思っていた。もちろんこれは甘かったらしく、その後何の音沙汰もない。

期限切れでそのまま走っていてもとりあえずおまわりに停められさえしなければ何の問題もないんだろうが、そこは小心者なのでとりあえずDMV(免許センターと陸運局を一緒にしたような州政府の組織)に出向く。

建物に入るための列に並ぶこと30分、その後受付で並ぶこと10分、その後番号を呼ばれるまで待つこと2時間、めでたく順番が来た。で、言われたことは「うちの管轄じゃないからここに電話して自分で話して」だった。それ受付で言ってよ。

で、その電話番号に電話をかけ、つながるまでに待つこと20分。コールセンターのお姉さんは「3週間じゃ届かないわよフフフ。必要書類のコピーを今から言う番号にファックスで送ってちょうだいな。確認できたらこちらのコンピュータで更新処理をしてあげます」と言う。それなら最初から期限に間に合うように書類を送ってくれたらどうなんだとは言わないでおいた。おとなしい市民をやっていると胃に穴が開きそうだけど、怒鳴りつけても気分が晴れるわけではない。

で、書類一式のコピーをとってファックスを送る。確認するのって1時間くらいでできるのかしら、と思いつつ再度電話をかけてつながるまで辛抱すること20分。州は予算切られまくり人員切られまくりでつながらない電話がさらにつながらない。

電話に出てくれた別のお姉さんは「確認には2時間くらいかかります。電話番号を教えてくれれば、確認できたところで連絡します」と言う。「確認してそちらで情報を更新してもらえれば、私の手もとに新しい免許証がなくてもこのまま運転していいということですよね」と聞くとそうだと言う。実際にこのお姉さんが正しい可能性はよくて6割だけど、他に信じるものもないので信じておくことにする。もっとも警官はDNV直通の情報端末を持っていて、ナンバープレートや免許証番号からその人の情報をがっつり引き出すことができるので、あながち間違いでもないような気がする。

で、電話が来ませんよ、というのが今。こちらからかけても「ランチブレイク中です」という音声が流れて電話が切れます。

日本の役所仕事がどれほど不評かは知らないけれど、これに比べると桁外れに親切で丁寧だと思います。王子に言うと「じゃあ破綻してない別の州に引っ越そう」とうきうきと言われるので言わないけど。

今日の燃費

先週の日曜にガソリン充填。用があって何度か遠出をしたのでガソリンの減りが速い。

まだ残量のランプはついていなかったけれど、そのまま走ったら途中でガス欠になりそうだったので出先で入れた。「次のGSまであと73マイル(270km)」なんて表示があったりする国なのでガソリンの残量については若干強迫性障害っぽくなっているけれど、王子が「まだ大丈夫だよ~」とのんびりしているうちに残量ランプがついてなかなかGSが見つからず、しかも乗っているのはリッター8kmの車だったりすると「早めの補充がなぜ悪い」という気持ちにもなろうというもの。

241.6マイル走って7.08ガロン入りました。34.12mpg、14.5km/L。フリーウェイを走っていると燃費計の数値が上がります。

適当に行ったGSだったけど1ガロン2.99ドルと若干安かったです。リッター81円くらい。

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