降臨
外国語を学習していると、自分が上達したと実感する時期がときどきやってくる。言語の神が降臨したような感覚に陥るという、今がその時期である。
3年ほど前、それまでよりも楽になった、と感じた時期があったのだが、そこからは目立った成長は感じられなかった。わたしの英語スキルは、母語である日本語とは比べ物にならない。外国語が母語を超えることがないというなら、まだそこには改善する余地があるはずだと思っていたが、一方で外国語だからこの程度なのかもしれない、とも思っていた。
これまですこしずつ得てきた新しい語彙と表現力とが、なぜか急に会話時に使えるようになった。相手の意を汲み、伝えたいことを細やかに表現するのが楽になった。
この状態はあと数週間続き、そして終わる。らせん階段を昇って昇って、あるとき「こんなに高いところまで来た」と実感し、でもよく見たらまだ階段は終わらないどころか延々と続いていた、という感じ。
ある程度まで到達した言語力をそこから伸ばすのに必要なのは、活用語彙力の豊かな人である。語彙が豊かなことと活用語彙力が豊かなこととはイコールではない。語彙は大きく、多くの言葉を知ってはいるが、実際の生活ではありきたりな表現しか使わないという人はけっこういて、特に男性にその傾向が強い。そうではなくて、実際に話す英語に色彩を感じるほど表現が豊かな人と多く話すことが自分の表現力をつけることになり、さらに同様に表現が深い人たちとの出会いにつながる。
日本語は深く繊細な言語だけれど、英語もまた深さを持つ美しい言語だと思う。いやでも手間暇のかかることだね。次の降臨はいつになるのか。というか、次はあるのか。

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