カスタマーサービス地獄

切手の有効期限

友人から年賀状が来た。高校時代の友人でもう何年も連絡を取っていなかったという、要するにそれなりの人で、だから喪中だというのも知らせていなかった。とはいえ放置はできないのでカードを書いて王子にも署名させて出すことにした。

さて、こちらからはがきや封書を日本に送るのは98セントかかる。もちろんこれは基本料金なので、カードの大きさが定型を超えていたり重かったりすれば超過料金がかかる。

98セント切手というのが当然ある。車がなかった渡米直後、王子に連れてってもらった郵便局で98セント切手を何枚か買うことにしたのだが、このときこの郵便局、中央局なのに98セント切手を切らしていた。で、「これ切手と同じように使えるから」とQRコードと98セントという数字のついたステッカーを発行してくれた。

実際にはそのけっこうすぐあとに免許を取って車を購入したので、必要があれば郵便局に行けるようになり、さらに用事はメールで十分事が足りていたので手紙を出すこともほとんどなく、そのステッカー切手は財布の底に沈んでいた。

で、今回出勤ついでに寄った郵便局でそれを使おうと出したら局員のおっさん、「うーん、これ使えるのかなあ。使えると思うんだけどさ」。で、隣にいたおばちゃん局員に「コレ使えますかね。なんか数年前に中央局で買ったみたいなんです」

「無理だと思うわ~。その局でないと使えないわよ。あと日付も古すぎるし」

ちょっと待て。インフレがあれば価値が落ちるのはあるとしても、切手と同じだと言われて購入したものに有効期限があるのか。てかこれ販売の日付だし。だいたい個人商店のスタンプカードじゃあるまいし、同じ場所じゃなきゃ使えないってどういうことよ。

「郵便局に行かなくても日本に手紙が投函できるようにとXX局で購入したものです。有効期限があるのはおかしいし、局に持っていかないと使えないのもおかしい。つまりポストに投函できないということですか」言っている間におばちゃんは裏に消えていった。逃亡完了らしい。

おっさんは困っているが、こちらだって困る。「お困りのようですから、上の方を呼んでください。局としての公式な見解が聞きたい」と伝えると、「今のが上司なんです…」。

面倒なので持っていた98セント切手を出して使う。おばちゃんの名前を教えてもらって帰宅。

こっちの郵便局員の使えない人遭遇率の高さは異常。こんなこととかこんなこととか、出会う郵便局員の多くがその印象を強くしてくれている。

もちろん郵便局員だけじゃなくて、わけのわからない人はどこに行ってもいる。でもこちらの公務員系のわけのわからない人遭遇率はハンパじゃないです。特に末端。民間で使ってもらえないから公務員になるというこちらの常識がだんだんしみてくる昨今。一方で王子は「日本は公務員最強」という常識がしみてきているらしい。

ダニー・シェイふたたび

ちょっとびっくりした話。

クリスマスカードを投函しに郵便局に行った。それほど広くない駐車場に車を停めたらかなり左寄り。でも車自体が小さいのでライン上でもなく線の内側に収まっているし、まいっか、とそのまま建物に入って用事を済ませた。

建物から出てきたら、わたしのフィットの横に入ろうとしている車がいた。頭から突っ込んでいるがかなり苦労しているようで何度もハンドルを切り返している。

この駐車場は柵で囲まれていて、通路を真ん中に左右7台程度計14台くらいが停められるもので、わたしはその向かって右側の奥から2番目に頭から突っ込んで停めていた。その車は、わたしのフィットの左隣、一番奥に入ろうとしていたのである。

この車というのがフルサイズのピックアップトラック、、一般家庭用では最も大きいものだった。いやよくもこんなでかい車をこんな狭いところに入れようとするよな、他に空いてるところもあるのに…と思いながらひたすら切り返すのを見ていたが、こすられたらいやだな、と思って車に乗ることにした。「所有者がここにいるよ。こすったら高いよ」というサイン。

フィットの後ろすれすれを出し入れしていたので、フィットの前を横切って運転席に乗りこむ。この人がまともに停められたら出ようとエンジンをかけた。

サイドミラーを見ながら正直いつこすられるかとびくびくする。めがねをかけていなかったので視野は平面で、距離感が薄いせいでより怖い。何度かの切り返しの後、車が止まる。止まったんだが困った。トラックが斜めにとまっている。車体が長いから、荷台の後ろがこちらに張り出している。これだと正直うまく出る自信がない。

一度かけたエンジンを止めた。うまく出る自信がない以上、出すわけにはいかない。この人が郵便局で用事を済ませて出て行くまでここにいるしかない。この人は何とか車を突っ込んだんだから出せるだろう。この人がいなくなればそれほど出すのに苦労はしない。

クリスマスで郵便局が激混みかもしれないと、ケータイからiPodからPSP、本までいろいろと暇つぶし用品を持ってきていた。20分もあれば順番は来るだろうけど、5時間くらいまでなら潰せる。どれから始めようかな。

…と、そのトラックの助手席の窓が開いて、運転手らしいオバハンがシート越しに顔を出していきなり怒鳴る。たぶんオバハンな年齢なのだが、顔がのっぺりしていて幼いというか、経験値が低い表情をしていてちょっと怖い。

「ちょっと、車出しなさいよ!何なのよ、こっちに出っ張って!」

実際わたしの車は左寄りだったのだが、このときわたしの右側のスペースも空いていた。当然ながらこちらにはかなりの余裕がある。バカでかい車を、他に停めるところもあったのにわざわざ奥の狭いスペースに突っ込んで、自力ではまともに停められないから先にそこに停めた相手に怒鳴りつけて出させようってか。

「この車は線内に収まってますが」

「こんなにこっちに寄ってるじゃないの!はやくどかしなさいよ!」

「こちらが先にここに停めていたはずです。他にも停めるところがあったのに、わざわざここに停めたのはあなたでしょう。だいたいそちらのトラックのケツがこんなにこっちに出っ張ってるのに、こっちゃこすらずに出す自信なんかない。動かす気はありません」

実際は慎重に動かしたら出せないことはなかったとは思う。ただ雨降りで視界が悪く、郵便局という人や車の出入りが激しいところという、そうでなくてもかなり神経を使う状況だったので、斜めに止まったこの車を避けながら後ろ向きに出すのがわたしの技術ではしんどかったという話。こすりゃ当然こっちの責任だし、だいたい物言いが気に入らない。「大変申し訳ないけど、あまりスペースに余裕がないのでうまく停められない。車を出してもらえませんか」なら考えた。

オバハンが言う。「ここであなたと何時間も言い合いをする暇はないの。とりあえず出してちょうだい」

とりあえずって何だよ。だから出せないっつってんだろ頭悪いな。この辺でダニー・シェイの歌うジャスティン・ビーバーの替え歌「What the hell are you talking about」が脳内で流れ始める。

「いや~、こちらは別に急いでないのでいいですよ。この状況でこすらずに車を出す自信がないから出せないんです。こちらが出してお宅の車をこすったら、責められるのはこっちですし」。あたしほんとに全然急いでないの。なんなら今からPSPでパタポン3始めちゃってもいいのよ。

するとこのオバハン、鼻で笑って言った。「そんなチッコい(マジでそう言った)車なら余裕で出るわよ、早く出しなさいよ」

扱う技術もないでかい車に乗って狭いスペースに車を中途半端に突っ込んで、挙句にそれを先にそこにいた他人に責任転嫁して怒鳴りつけて、さらに人の車にケチをつけるってか。おまえはアベオでも乗っとけやぼけ。

「運転に自信がないから、こんな『チッコい』車に乗ってるんです。そんなわけでとにかく無理ですから」言い放って窓を閉める。王子に電話して夕飯適当に食っとけって言おうかな。冷蔵庫にカレーの残りがあったよね。

オバハンはギャーギャー喚きながらも車を出して再度切り返し、若干反対側に寄った。まあこんなもんか、とこちらも車を出した。そのまま駐車場を離れる。

いやなんかびっくりしたわ、変なおばちゃんに引っかかったな…と思いつつ、とりあえずこすらなくてよかったと安堵して、スーパーに寄るのをすっかり忘れて帰宅。

王子に顛末を話したら「よくやった!」ですと。わたしとしては噛まずに淡々と言いたいことが言えたのがうれしい。英語の上達は恋愛と喧嘩だね。要するに大きな感情の動きということか。

なんか郵便局に行くと面倒が多いような気がする…

宛名は大きくはっきりと(あるいは、what the hell are you talking about?)

遊び終わったゲームソフトを日本の友人に送ることにして、適当に箱詰めして宛名を書いて郵便局に持って行った。箱の表に友人の住所と名前を日本語で書き、その下に「JAPAN」と書いた。

関税申告書を記入して窓口に持って行ったらフィリピン系のおばちゃんに「宛先を書いて」と言われた。

「宛先?ああこれ日本語なんです。日本向けなんで、日本に着きさえすればあとは大丈夫です。ほらここにJAPANって書いてあるでしょ」

どうやらおばちゃんはこの返事が気に入らなかったらしい。

「わたしは日本語は読めないから、ちゃんと英語で書いて」

「いやいや、あなたが読む必要ないでしょ、国内の配達は日本語ネイティブのの郵便屋さんがするんでこの方がわかりやすいんです。宛先不明ならわたしの住所は英語で書いてありますし」

「とにかく読めないと困るの。読めなかったら関税申告書と同じ住所かどうかわからないでしょう。とにかく書いて」

ここで徴収される料金は「日本」までであって、その先が北海道だろうが沖縄だろうが関係ないし、大事なのは中身が関税法に引っかからないかどうかだろう、仮にこの日本語表記の住所が関税申告書と違う住所だとして一体どんな問題があるのか、と言いかけたが、すでに目も合わせずにペンを押し付けるおばちゃんに何を言ってもどうにもなりそうにないのでとりあえず英語表記で住所を書いた。

実はもっと深遠な理由があって英語表記が必要なんだろうかと帰り道に考えたのだが、どうにも思いつかなかった。だいたいこれまで数年間日本語表記で送りつけて問題なかったし、第一日本の郵便局員さんからすれば日本語表記の方が楽に決まっている。単に変な人に当たっただけか。

うちの病院で大腸鏡を受けて帰りがけに「この検査のために仕事を休んだから、職場に提出する診断書をくれ」と言われて規定通りのものを書いて渡したら「もう2、3日休めるように書き換えてくれ」と言ったの、あれは郵便局員さんだったなとか(断ったらごねられたので医者から断ってもらった)、検査後に「ジュースないの」「食べるものは何かあるか」「持って帰る分もいくつかくれ」と言った郵便局員さんもいたなとか、いろいろ思い出しつつ帰る土曜日。

この動画はアメリカのスター発掘番組「America's Got Talent」で、アイドルスター、ジャスティン・ビーバーにそっくりなために「ジャスティンのヒットソングを歌って!」と言われることにうんざりしたこの女性がそのヒットソングの替え歌を歌った時のもの。郵便局の窓口のおばちゃんとのやりとり中、頭の中ではずっとこのサビ、「What the hell are you talking about? I was like, what the hell are you talking about?」が流れ続けていた…というわけで転載。

ところで、 what the hell というのは非常に響きが強いので大事なときにとっておいて、普通は what the heck くらいにとどめておくといいと思います。

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