7年目の初心
米国の看護師国家試験に合格して8年ほど、そして実際に採用されて勤務を始めて今年で丸6年、7年目を迎えた。
朝は起きたくないし仕事に行きたくないし、アメリカ人は術後に「なんで痛いの、手術したら痛いなんて聞いてない」なんて真顔で言うし医者は古今東西無茶ばっかり言うし、先週は患者の安全が優先されない状況での担当を強いられて、本気で椅子蹴っ飛ばして辞めそうになった。王子に言ってから辞めようと電話をしたら何となく落ち着いてそのまま定時まで仕事をしたけど、頭に来すぎて翌日就職以来初めて病欠した。たぶん上司は仮病だと知っていたと思う。
そんな昨今、日本人の看護師が米国の看護師国家試験の受験資格を得るための出願をしても却下されることが増えているという話を聞いた。
日本で看護師になろうと思ったとき、政府が認める看護師養成機関で看護課程を修了することで看護師国家試験の受験資格を得て、これに合格することで看護師免許を取得する。これは今も昔も変わらない。しかし、この看護課程が今と昔では少し違う。
わたしは看護専門学校で看護課程を履修した。看護学校は厚生労働省管轄である。とにかく短期間でみっちり看護の基礎を叩き込んで臨床に送り出すことが目的である専門学校は、少なくともわたしが入学した年度までは3年間に限界まで授業時間数を組み込まれていた。
そんな詰め込みの看護課程はおかしいとカリキュラムが見直され、翌年、授業時間数が大幅に削られた「新カリキュラム」が導入された。成人用おむつで排尿をする経験実習も、学生の人権への配慮からなくなったんだって。
現在、新カリキュラムを修了して看護師になった日本人が米国の看護師国家試験の受験資格を得ようと出願しても、授業時間や科目が十分でないと却下されるというケースが出てきているという。たとえば現在米国市民と結婚していて米国内で就労可能な状態にある日本人が、日本での看護師免許を利用して米国の看護師国家試験を受けようと思ってもそれが叶わない、ということが起きているというのだ。
このルートがだめな場合、当然だけど学校に行きなおすということになるのだが、看護専門学校で取得した単位はここでは一切カウントされないので、それこそパン教からやり直す羽目になる。さらに人気が高い看護課程は費用が高い上に数年待ちが当たり前であることが多い。
わたしが出願したときにもけっこうな手間がかかったのだけれど、出身校や家族や県警のみなさんの協力で無事書類審査を通過して、その後試験にも合格して看護師になった。旧カリキュラムを受けた看護師で受験資格が認められなかったという話はほとんど聞かないが、実際のところ米国の短大どころか4年制よりも授業時間数は多いのだから当然なのかもしれない。それでも、自分の努力だけでここまで来たなどというのは思い上がりも甚だしい。
そういうわけで、明日もありがたく仕事に行こうと思います。
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